Posts tagged "建築"

伊丹十三と 伊丹十三 記念館
松山の 伊丹十三 記念館 に行ってきました。 伊丹十三 が亡くなって22年になります。映画監督で知られた 伊丹十三 は、商業デザイナー、イラストレーター、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家など、多彩な顔を持つ一種の天才肌の人物でした。 上に挙げた肩書以外にも、音楽愛好家、料理通、乗り物マニア、猫好き、精神分析啓蒙家など、その興味は広範囲に広がっていました。 &nb […]

大胆予測!虚構未来。 コロナ の時代の建築と都市 <下>
世界中に蔓延している新型 コロナ ウイルス感染症(COVID-19)は、建築や都市にどんな影響をもたらすのだろうか。 イギリスの新聞「ガーディアン」The Gardianは4月13日付記事でコロナウイルスの後の建築と題した記事を掲載した(Oliver Wainwright, Smart lifts, lonely workers, no towers or touris […]

大胆予測!虚構未来。 コロナ の時代の建築と都市 <上>
新型 コロナ ウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、おさまる気配をみせていない(2020年4月28日現在)。まったく先行きが見通せない、この未曽有の事態がこれからの世界にどのような影響を与えるのだろうか。 イギリスの新聞「ガーディアン」The Gardianは4月13日付記事でコロナウイルスの後の建築と題した記事を掲載した(Oliver Wainwright, Smar […]

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
パブリックってなんだろう? ~映画『 ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』~ 映画『 ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』は、今年(2019年)89歳のドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督の第41作目にあたる作品だ。 フレデリック・ワイズマンは、ナレーションや解説を一切排し、映像そのものにじっくり語らせる手法で、現代社会で起こっているできご […]

時の輝き ~ コッパー (銅)、 ブラス 、ブロンズ ~
「鉄とガラスとコンクリート」 モダニズム建築の代名詞として使われるマテリアルだ。 鉄筋コンクリート造(RC造)の躯体にガラスの窓、あるいは、鉄骨造の構造体をガラスのカーテンウォールが包む、世界の都市はまさに「鉄とガラスとコンクリート」であふれている。 現代建築のイメージを決定づけた、ガラスカーテンウォールによる高層ビルの元祖は、ニューヨークの《国連ビル》(1952年)だ […]

完璧さという悲劇 ~ウディ・アレン監督・映画『 インテリア 』~
完璧な インテリア 。 完璧なデザインのモノや空間に囲まれて暮らす。誰もが一度はあこがれるライフスタイルだ。 計算されたフォルム、絶妙なプロポーション、吟味された素材、味わいのあるテクスチャ、洗練された色、研ぎ澄まされたディテール。背後にある、それらを完璧にコントロールする深い知性と類まれなる感性。 完璧な インテリア を見たかったら、映画『 インテリア […]

ファッション と建築
かつて、 ファッション 雑誌が好きで、買いまくっていた時期があった。 メンクラ、流行通信、anan、ノンノ、マリクレール、フィガロ、JJ、WWD、ポパイ、ホットドッグプレス、L’homme Vogue、ブルータス、エスクァイア、GQ、LEON、ブリオ、DORSO、Men’s EX etc. ファッションと建築は似ている。 第一に両者ともひとの身体を覆う外観 […]

50脚のチェアでたどる モダンファニチャー の歴史 ~「長く生きる。”DNA”を繋ぐ50脚の椅子展」 @無印良品 銀座~
下の写真の椅子は、ミース・ファン・デル・ローエが、自身の設計した《トゥーゲントハット邸》のためにデザインしたダイニング・チェア。一般には《チューブラー・チェア》(1930)と呼ばれている(★)。 このスチールパイプのカンチレバー構造のチェアは、 モダンファニチャー を代表するアイテムのひとつだ。カンチレバーとは、片側からの張り出しで重量を支える構造のことだ […]

モダニズムが夢みる「 アナザーユートピア 」
建築ではなくオープンスペースからこれからの都市をあり方を考える。建築家の 槇文彦 が「 アナザーユートピア 」という論考で問題提起している。 槇文彦の問題提起とそれへのさまざまな専門家からの応答で構成された書籍『 アナザーユートピア - 「オープンスペース」から都市を考える』(槇文彦・真壁智治 NTT出版 2019年)の刊行とあわせてトークショーが開かれた(2019年4月23日@青 […]

グリニッチヴィレッジ・コネクション<上> ジェイン・ジェイコブスと ボブ・ディラン
『アメリカ大都市の死と生』 THE DEATH AND LIFE OF GREAST AMRICAN CITIES (1961)(★1)は、アーバンデザインや都市計画の分野ではバイブル的存在として名高い著作だ。 著者のジェイン・ジェイコブズは、政治家や官僚や専門家は都市のことをなにもわかっていないとして、自らが住むニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジの街の様子を生き生き […]

建築家・ 坂茂 が手がけたホテル 《ショウナイホテル スイデンテラス》
坂茂 の《ショウナイホテル スイデンテラス》 SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSEに泊まってみました。 《ショウナイホテル スイデンテラス》は山形県鶴岡市にあります。その名の通り、米どころを象徴する庄内平野の水田(★1)の中に建っています。 見晴らしの良さ、空の大きさなど、田んぼが広がる大らかな風景は、建て込んだ都会の街並みを見慣れた目には、今や新鮮に映ります。 […]

アメリカのバウハウス
今年(2019年)は、バウハウスが設立されてからちょうど100年にあたる。ドイツのワイマール(ヴァイマル)のバウハウス校は、1919年にヴァルター・グロピウスを初代校長として開設された。 バウハウスは1925年にデッサウに移り、8年の活動の後、1933年、ミース・ファン・デル・ローエが校長を務めていた時、ナチスの圧力により閉鎖に追い込まる。バウハウスの活動は合計14年余りの短い期間だった。 (Ca […]

モダンデザイン はなぜ生まれたのか ~ 『我々は人間なのか?』が問いかけるもの ~
モダンデザイン はなぜ生まれたのか ~ 『我々は人間なのか?』が問いかけるもの ~ 『我々は人間なのか?』(ビアトリス・コロミーナ、マーク・ウィグリー、牧尾晴喜訳、BNN新社、2017年)は、「デザインの歴史とは、進化していく人間の概念についての歴史」であるとして、デザインと人間の関係を問う書である。 著者は、「デザインが人間をつくる」と述べ、人間主体の常識を覆す。 […]

もうすぐ改修予定の 坂倉準三 の アンスティチュフランセ 東京 <後編>
再訪した アンスティチュフランセ 東京(旧東京日仏学院・1951年)では、来年(2019年)改修・増築を迎えるにあたって、「建築家・ 坂倉準三 パリ-東京 生き続ける建築」展(2018年9月6日~10月21日)が開催されていた。 ホールには坂倉準三がデザインした天童木工の椅子が展示されている。コルビュジエ事務所の同僚だったシャルロット・ペリアンとの共働に始まり、坂倉はさまざまな椅子や家具をデザイン […]

もうすぐ改修予定の 坂倉準三 のアンスティチュ・フランセ東京<前編>
新宿区市谷のアンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院・1951年)は来年(2019年)、建築家・藤本壮介によって改修・増築の予定だ。 最初の建物が完成してから今年で57年、改修前に 坂倉準三 のマスターピースを再訪した。 アンスティチュ・フランセ東京は、新宿区船河原町の、市ヶ谷台地へと上る逢坂が始まるところに建っている。高台の敷地に建つその姿は、しばしば丘の上の客船 […]

住宅 は車に憧れ、車は 住宅 を夢見る <1>
18世紀のフランス宮廷社会では、現代人が車に寄せるのと同様の興味と関心が、家具に対して寄せられていたそうだが、20世紀にモダニズムが誕生した時から、車と住宅 はお互いを強く意識する関係だった。 住むための機械、車のような 住宅 。 ル・コルビュジエの《シトロアン 住宅 》 ル・コルビュジエは1917年、30歳で故郷スイスからパリに出て1920年に「エスプリ・ヌーヴォー」 […]

桂離宮 シンプルの系譜<6>
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。 シンプルはモダニズムの専売特許ではない。また、建築やプロダクトのデザインに限られるというわけではない。シンプルという価値観はどこから来たのか。その具体的な現れ方とは。シリーズ《シンプルの系譜》では、さまざまな切り口 […]

「建築の日本展」を観て<後編> 丹下健三自邸
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」丹下健三自邸 (2018年4月25日~9月17日@森美術館)では目玉として2つの巨大模型による作品が展示されている。 <前編>では、妙喜庵待庵(みょうきあん・たいあん、1581年、京都府)の原寸模型を見たが、<後編>では、すでに現存しない 丹下健三自邸 (A Houuse/Tange House、1953年)の再現模型を見てみよう。こちらは1/3スケールで […]

「建築の日本展」を観て<前編>~ 千利休 の国宝茶室・待庵の内部空間擬似体験~
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」(2018年4月25日~9月17日@森美術館) 監修を務めた建築家で建築史家の藤森照信は、日本の建築家の基礎体力は木造建築にあり、石造建築の技術を発展させてきた欧米とは対照的であり、木造建築がベースにあるということが、日本建築の個性を生み出していると述べている。 木造建築は木の柱を格子状に組んだ軸組み構造が主流であ […]

ル・コルビュジエ の肉声が語る芸術、建築、人生
ル・コルビュジエ は50冊を越える著作を残している。モダニズム建築のもうひとりの巨匠であるミース・ファン・デル・ローエが一冊の著作も残さなかったのとは対象的であり、その多作さと能弁な語り口は、言葉を能くする建築家のなかでも群を抜いている。 その能弁さゆえに、逆に全体としての統一像が結びにくいのが建築家ル・コルビュジエだ。 (*Photo by Michael-LE CORBUSIER @ THE […]

アドルフロース シンプルの系譜<2>
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。 シンプルはモダニズムの専売特許ではない。また、建築やプロダクトのデザインに限られるというわけではない。シンプルという価値観はどこから来たのか。シンプルの具体的な現れ方とは。シリーズ《シンプルの系譜》では、さまざまな […]

物質の発見、ものとの対話 ~ 「くまのもの- 隈研吾 とささやく物質、かたる物質」展 ~
『建築的欲望の終焉』、『負ける建築』、『自然な建築』、『反オブジェクト』。著作の題名をたどるだけで建築家 隈研吾 が目指してきたものが、一貫して<反建築>であることが分かる。 隈本人の言葉で言えば「自己中心的で威圧的な建築を批判したかった」ということになる。隈はそうした建築をくオブジェクト>と名づけた(『反オブジェクト』 2000年初版)。モダニズム建築もその例外ではない。「透明性と開放性を基本 […]